フルートのテクニック
ピアノやヴァイオリンで活躍されている方は子供頃から、レッスンを受け、いわばエリートのような教育を受けられている方がほとんどだと思います。
近年は、管楽器、特にフルートでもその傾向は強くなっています。
新村 理々愛(1994生)さんは、小学生の時、第23回日本菅打楽器コンクール第3位(史上最年少、小6)などを受賞しました。音大生や一般の方も参加するこのコンクールで小学生が受賞したのですから、驚きです。当時、話題になりました。
と、、ここでは、そのようなエリートの方々の話は、置いておいて、私のような大人になってから、フルートに目覚め、人並みに演奏技術を身につけた自分自身の経験をお話ししてみたいと思います。
私自身のこと
私が初めてフルートの先生に師事したのは二十歳の頃でした。
その先生は当時、東京芸大4年生で、私とほとんど歳の差もない先生でした。
指定された教材はアルテの2巻です。
アルテの2巻は、結構難しいです。特に表示されているテンポなどで、吹こうと思いましたら、かなり高難度だと思いますが、私は思うように指が動かず大変苦戦いたしました。
これは、先生に指摘されるまでもなく自分自身で、致命的な欠点だと感じました。
当時の私は、高校を卒業してブリヂストンに入社して3年目、土日しかフルートを練習できませんでしたから、かなりハードルは高かったです。。
まずは、力を抜くこと
レッスンを受けて、ほどなくして、私は東京芸大を受験してみたくなりました。
でも、指がうごきません。これは致命的でほとんど不可能にも感じましたが、「なんとかならないか?なんとかしたい!」
その思いで、初めに試みたのは、徹底的に、指の力を抜くことです。
では、どんな風に?
「指の力を抜いてください!「はい、わかりました」「〜♪〜 🎵〜」なんてことにはなりません。
、、力を抜くといっても、なかなか言葉通りにはいきません。
まず、中音域のG(ソ)の音の運指で楽器を構えて、立ってみる。
その時、指に余計な力を入れないでバランスを取れているか?
指だけでなく、腕も、肩も、顔も、喉も、そして頭の位置は?
(そもそもは、立ち方、持ち方重要ですが、またの機会に)
徹底的にチェックします。
そして、Gの音を出してみる。押さえていない指は高く上げないこと。
次は、Gの音とAの音にスラーをかけて吹いてみる時、どんな動作をするか?
つまり、動かすのは、左薬指を上に上げるだけ。
その時、薬指を動かす以外の動作は必要ありません。どこかに力を入れたり、余計なことはやっていないか?と、自分自身をよーく観察し、感じます。
と、こんな風に、ロングトーンなどやりながら、そして音階へとゆっくりじっくり、どこにも余計な力が入っていないことを確認しながら吹いていきます。
これを毎日毎日、繰り返していき習慣化していきます。
この練習は、非常に手応えを感じ、徹底的にやりました。
そして、現在にいたるまで、指は最小限の力と動作で演奏するべきということを基本に演奏しています。
さて、芸大に入学した後は、
ほとんどエチュードもやらないで、芸大に入学してしまった私ですが、周りも、先生も、もう芸大に入学したんだから、できるでしょう。という空気が漂っていましたので、足りないところは自分でやるしかなく、タファネルゴーベールを手始めに、手を替え品を替え、思いつくままにやってまいりました。
ここで、私がお世話になった教則本をご紹介します。
17のメカニズム日課大練習
この楽譜は、ピアノで言いますと、「ハノン」に匹敵します。
ある程度吹けるようになりますと、まずテクニックの練習としてこの教則本をやるのが定番だと思います。
課題はNo.1から17までありますが、音大など目指す方は、全部、重要ですが手間も時間もかかります。一般にはNo.1 No.2 No.4 あたりをやれば十分だと思います。
私は、芸大入試の頃は、このNo.4を付点をつけて毎日練習しました。
また、現在のレッスンでは、昔は輸入楽譜で高価でしたので一般の方にはおすすめしずらかったのですが、今は音楽の友社から安価なシリーズが出版されましたので、初歩の方にも、音の練習としてよく使っています。
モイーズ、マルセル/音階と分散和音:480の技術練習
480の技術練習 とありますように、音階、分散和音を全部の長調、短調、三度、四度、、、組み合わせで480通りが書かれています。序文の次に、1番〜480番まで数字がランダムに並べられています。「1 134 267 400 53 186 、、、、」
序文には、この番号の指示する調性で、横の順番に、練習するように、指示が書かれています。毎日、一つの番号をやると480日かかるということです。
私は、毎日一列ずつやりました。そうすると、40日で一通りできます。、、、なんちゃって、途中で何度か挫折した記憶がありますし、順番を変えたり、テンポを変えたり、今日はCdur、明日はDesdur、、とパターンを変えたりしながらいろいろやりました。
トレバー・ワイ/フルート教本 第5巻 – 呼吸法と音階練習
トレバー・ワイのフルート教本はNo.6までありますが、このNo.5の中の、技巧的スケールとアルペッジョをご紹介します。中身は、スケールとアルペッジョですから、タファネルゴーベールと同じなのですが、この本の特徴は、タファネルゴーベールでは、高音域はHまでしか書かれていないのですが、この本はC、Cisの音まで書かれているので、難易度がぐーんと上がるのです。かなり難しいですが、高音域のトレーニングにはかなり有効だと思います。
トレバー・ワイ/フルート教本 第6巻 – 高度な練習課題
私は、このトレバーワイの第6巻は、特に効果のある教則本だと思います。
その中でも、テクニック「1」と「Ⅱ」は、私は徹底的にやりました。
具体的には、この教則本は、上記のご紹介したものとはだいぶ違います。
テクニック「Ⅰ」では、単純な4つ並んでいる音を指示してある臨時記号をつけながら各パターンを4回繰り返すとあります。4つの音と言いましても、例えば、Aは、まずEFEF 次はDEFEというように、単純なのです。ちなみにAは18パターン、そして臨時記号7パターン。Aだけで126通りで、これがAからTまであります。単純計算でもテンポ♩=120でやると1時間半かかりますが、私はある時期これを毎日テクニック「1」と「Ⅱ」練習していたことがありました。
これが、すごい効果を生みました。指がきれいに回るようになっていくのをすごく感じた練習です。
本当に、指が回らないとお悩みの方はおすすめの教則本です。